第5章 犠牲の決断

石柱の陰で、私は全身を震わせていた。

レオットの「分かった」という一言は、まるで死神の宣告のように、私の最後の幻想を打ち砕いた。

三年間、朝夕を共にしてきたというのに、彼の中ではエリシアの髪の毛一本にも及ばない存在だったなんて!

私は無理やり自分を落ち着かせた。

生贄にされるくらいなら、自ら運命を掴み取ってやる!

深夜二時、神殿は静寂に包まれていた。私はそっと部屋を抜け出し、黒いマントを羽織ると、神殿の最深部にある禁書庫へと忍び寄った。そこには、救世主の儀式の完全版を含む、最も危険な秘密の典籍が保管されている。

三年の神殿生活で、私はここの構造を隅々まで把握していた...

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