第6章 最後の別れ
聖光祭の前日——それは、私の二十一歳の誕生日だった。
「レオット」
私が彼を呼び止めたのは、彼が祈祷室へ向かう途中だった。
彼は足を止め、わずかに眉をひそめる。
「どうした? 昨日の準備の報告を、アリシア様が待っておられるのだが」
私を見る目つきまで、どこかぞんざいになっている。
「今日、私の誕生日なの」
私は彼の目をまっすぐに見つめた。
「だから……ここを離れる前に、ちゃんとした誕生日を過ごしたい」
レオットは一瞬、虚を突かれたようになり、その瞳に複雑な感情がよぎった。
「誕生日?」
「うん、二十一歳の」
私は努めて微笑みを保った。
彼は長いこと黙...
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チャプター
1. 第1章 異世界の召喚
2. 第2章 偽りの救世主
3. 第3章 一緒にいた三年間
4. 第4章 真の救世主

5. 第5章 犠牲の決断

6. 第6章 最後の別れ

7. 第7章 犠牲と再生

8. 第8章 レオットの崩壊

9. 第9章 新しい世界との出会いと庇護

10. 第10章 最終対峙


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