第7章 犠牲と再生

聖光祭の朝。神殿の広場は、黒山の人だかりで埋め尽くされていた。

私は鏡の前に立ち、純白の祭祀服に身を包んだ自分を見つめる。

窓辺では、レオットが贈ってくれた風鈴が、ちりんと軽やかな音を立てて揺れていた。

「皮肉なものね……」

私は自嘲気味に笑う。

「最後の日だっていうのに、こんなに神聖な格好をさせられるなんて」

コンコン、と扉がノックされる。

「桐原様、間もなく儀式が始まります」

侍女の声には、恭しい響きの中にどこか同情の色が滲んでいた。

私は三年間暮らしたこの部屋を最後にもう一度だけ見渡し、そして、決意を固めて扉を押し開けた。

神殿の広場には、聖光城の全...

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