第9章 新しい世界との出会いと庇護

現代世界……

ある芸術学院にて。

美術教室で、夏希は手の中の彫刻に細心の注意を払いながら最後の仕上げをしていた。今の彼女は芸術大学の美術学部の学生である。

『聖光の女神』の面差しが、彼女の彫刻刀の下で次第に鮮明になっていく――それはエリシアの顔だったが、その眼差しには深い悲しみが宿っていた。

「夏希、君のこの作品は本当に心を揺さぶられるな」

指導教官のミラーが近づいてきて、その目は賛嘆に満ちていた。

「この繊細な感情表現は、とても大学二年生にできるものとは思えない」

夏希は手を止め、淡々と微笑んだ。

「想像力がちょっと豊かなだけですよ」

「想像力?」

ミラー...

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