第11章

彼女は手探りでスマートフォンを探し、指先で画面をスワイプしてロックを解除する。突き刺すような光に、思わず目を細めた。

画面のメッセージを目にした瞬間、藤堂詩織の心臓は何かにちくりと刺されたように、細かな痛みが広がった。

結城時也からのLINEだった。

結婚して七年、彼の方から連絡してくることなど数えるほどしかない。ましてや、このような指示めいた内容など、なおさらだ。

藤堂詩織の口元に、自嘲めいた苦笑が浮かぶ。メッセージを開いた。

「今日は沙耶と和の送り迎えを頼む。お爺様たちがいるから、詩帆は来づらいだろうし、それに彼女の家からは遠い。わざわざ回り道させる必要もない。よろしく」

余計...

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