第7章

早朝六時、ベッドサイドテーブルに置かれた目覚まし時計が、時間通りにけたたましい音を立てた。

藤堂詩織の瞼がぴくりと動く。七年間、一日も欠かすことのない体内時計が、彼女をほぼ瞬時に覚醒させた。

腕を支えに身を起こすと、寝間着の襟元が滑り落ち、蒼白い首筋が覗く。

いつもの習慣通りなら、彼女は今頃もうキッチンに立ち、二人の子供たちのために朝食の準備を始めているはずだった。

子供たちが食べ終われば、車で学校まで送り届け、それから家に帰って家事を片付け、結城時也の夕食の準備をする……。

そういった細々とした事柄が、プログラムのように彼女の骨の髄まで刻み込まれている。

しかし、布団をめくってベッドから降りようとしたその時、昨夜スマートフォンの画面にポップアップ表示された、病院からの再検査通知を思い出した。

結城時也と離婚するとはいえ、子供に罪はない。

藤堂詩織は深く息を吸い込むと、手を伸ばしてベッドサイドテーブルのスマートフォンを取り、連絡先リストから結城時也の番号を探し出した。

コール音が長く続いた後、ようやく電話が繋がった。

「もしもし、何の用だ?」

「時也さん、私です」

藤堂詩織の声は、とても穏やかだった。

「今日、少し用事があって、子供たちを学校に送って行けなくなりました。申し訳ないのですが……」

「別に、必要ない……」

その言葉が終わらないうちに、明るく澄んだ女性の声が受話器から飛び込んできた。どこか甘えるような響きだ。

「時也さん、チャーシューまん、あとどれくらい蒸すの?」

白川詩帆だ。

藤堂詩織は、スマートフォンを握る指にぐっと力を込めた。その声には、あまりにも聞き覚えがあった。

電話の向こうで何やらごそごそと物音がし、静寂が訪れ、それからドアが閉まる音がした。

藤堂詩織は何も言わず、ただスマートフォンを耳にきつく押し当てる。

結城時也が続けた。

「お前が別の場所に住むつもりなら、いちいち行き来する必要はない。詩帆が子供たちを学校に送った後、そのまま会社に行くから、ついでだ」

藤堂詩織の口元が弧を描く。何かを言う間もなく、受話器から二人の子供たちの甲高い歓声が聞こえてきた。

「パパ、今日は白川おばさんと一緒に学校に送ってくれるの!」

結城和の声だ。子供らしい喜びにはしゃいでいる。

子供の声が、針のように藤堂詩織の心を刺し、ちくちくと痛んだ。

結城時也と一緒に子供たちを学校へ送ること――それは、子供が生まれてからずっと抱き続けてきた彼女の願いだった。

それを、白川詩帆はいとも簡単に実現してしまった。

ずっと、子供たちは自分を頼りにしていて、自分を必要としているのだと信じていた。

しかし今となっては、自分がいない方が彼らは楽しそうだ。白川詩帆はたった数個のチャーシューまんで、彼女の七年間の献身をあっさりと奪い去ってしまったのだ。

藤堂詩織は目を閉じ、深く息を吸った。再び目を開けた時、その瞳の底の波紋はすでに凪ぎ、ただ死んだような静寂だけが広がっていた。

彼女は受話器に向かって、淡々と言った。

「ありがとう。お手数をおかけします」

そう言うと、結城時也の返事を待たずに、そのまま電話を切った。

スマートフォンの画面が暗くなる。藤堂詩織はその漆黒を数秒見つめた後、手を伸ばし、毎朝六時に鳴り響く目覚まし時計のアラームを、ためらうことなく削除した。

七年間。ようやく、この時間に神経を張り詰めさせなくてもよくなったのだ。

彼女は再び横になり、布団に身を包んだ。

次に目を覚ました時、もう十時近かった。

藤堂詩織はのろのろと起き上がり、簡単に身支度を済ませると、ゆったりとしたベージュのトレンチコートに着替え、体をすっぽりと覆ってから、バッグを持って家を出た。

病院にはいつも、消毒液と薬液の混じった、冷たくて重苦しい匂いが漂っている。

藤堂詩織は受付を済ませ、待合室の長椅子に座り、電子掲示板に流れる名前を見ながら、無意識にコートのポケットに入っているカルテを指先で弄っていた。

自分の前には、あと三人。

彼女は自分の手を見下ろす。指の腹には薄いタコができており、親指の付け根には浅い傷跡があった――それは以前、結城時也のためにスープを作っていた時、跳ねた熱い油で火傷したものだった。

その時、電子掲示板の名前が「白川詩帆」に変わった。

藤堂詩織の心臓が、どきりと大きく縮こまる。思わず顔を上げた。

すると、白川詩帆が結城時也の腕に絡みつきながら、待合室の入口から入ってくるのが見えた。

白川詩帆は薄紅色のワンピースに白いニットカーディガンを羽織り、艶やかな長い髪を肩に流している。顔には薄い笑みを浮かべ、とても顔色が良いように見えた。

一方の結城時也は、普段は固く結ばれている口角が今はわずかに上がり、その眼差しには藤堂詩織が一度も見たことのない優しさが宿っていた。彼は顔を傾け、白川詩帆に何かを話しかけている。

藤堂詩織は、耳の中でキーンという音が鳴り響くのを感じた。視線は彼らに釘付けにされ、少しも動かせない。

七年間。結城時也と結婚して七年になるが、彼がこんなにも優しい眼差しをすること、こんなにも辛抱強く人の話に耳を傾けること、そして相手の笑顔一つで目を細めることなど、これまで全く知らなかった。

なんだ、彼は優しくないわけではなかったのだ。ただ、その優しさが、自分に向けられることは決してなかっただけ。

彼らに会いたくない。特に、こんな時に。

白川詩帆の診察はすぐに終わった。結城時也は相変わらず甲斐甲斐しく彼女の腰を支え、二人は楽しそうに談笑しながら出口の方へ向かっていく。藤堂詩織はずっと俯いていたが、彼らの足音が廊下の向こうに完全に消えるまで待ってから、ようやくゆっくりと顔を上げ、長く息を吐き出した。

「藤堂詩織さん」

看護師の声が耳元で響いた。

藤堂詩織は慌てて鼻をすすり、胸に込み上げるものを抑え込むと、立ち上がって看護師の後について診察室に入った。

白川詩帆がちょうど出口に向かおうとした時、背後から聞き覚えのある名前が聞こえたような気がして、わずかに足を止めた。

「どうした?どこか具合でも悪いのか?」

結城時也がすぐさま心配そうに尋ねる。

「私の検査結果、とても健康だったじゃない。心配いらないわよ。行きましょう」

白川詩帆は微かに笑うだけで、その聞き慣れた名前について深く考えるのをやめ、結城時也の腕に絡みついたまま歩き続けた。

藤堂詩織の検査は順調に進んだが、結果は芳しくなかった。

医師はレントゲン写真を見ながら、眉をわずかにひそめた。

「藤堂さん、あなたの状態はあまり良くないですね。この期間は必ず安静にして、もう無理はできませんよ」

彼は一呼吸おくと、藤堂詩織がテーブルの上に置いた、指輪をはめた手に目を落とし、溜め息をついた。

「ほら、あなたの手。一目で家事に慣れているのが分かります。ずいぶん荒れていますね。主婦というのはこうなんです。気を使いすぎて、病状の回復には良くないんですよ」

藤堂詩織は口元を引きつらせ、笑おうとしたが、笑えなかった。

医師は自分の言葉が少しきつすぎたと思ったのか、今度は彼女を慰めるような口調に変えた。

「そういえば、あなたの前に診察された女性ですが、本当に健康な体でしたよ。何の問題もありませんでした。旦那さんと一緒に来られていて、まるで新婚夫婦のようでした。とても仲睦まじくて」

彼は何かを思い出したように、付け加えた。

「あの方は、一目見て大切にされている奥様だと分かりました。手もとても綺麗に手入れされていて。旦那さんも彼女にとても優しかった。あなたも家に帰ったら、ご主人とよく話し合って、あまり無理をさせないようにしてもらってください」

藤堂詩織は苦笑した。もしこの医師が、白川詩帆の隣にいた男が自分の夫だと知ったら、一体どんな顔をするだろうか。

診察室を出ると、外はちょうど良い日差しだった。

藤堂詩織はその場に立ち、地面に映る自分の影を見つめる。薄っぺらで、孤独だった。

彼女はゆっくりと手を持ち上げ、その手を見つめた。右手の薬指にはめられた指輪が、ふとよそよそしいものに感じられた。

この手は、結城時也のために数えきれないほどのシャツを洗い、子供たちのために数えきれないほどの食事を作り、この家のために七年間尽くしてきた。

しかし結局、返ってきたのは「病状の回復には良くない」という一言だけだった。

彼女は静かに溜め息をつくと、七年間の青春を縛り付けていたダイヤモンドの指輪を外し、そのままバッグにしまった。

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