第9章

結城沙耶は光るステッキを手に掲げ、結城和は半身ほどの高さもあるウルトラマンの人形を抱きしめている。二人の顔には興奮した笑みが浮かび、小さな頬は赤く染まっていた。

それらの真新しいおもちゃは、一目見て高価なものだとわかる。考えずとも、白川詩帆が買い与えたものだろう。

車のドアが閉まる音がして、二人の子供は同時に振り返った。

藤堂詩織の姿を見ると、彼らの顔から笑みが少し薄れ、ただ行儀よく「ママ」と呼んだ。

その呼び声は、あまり親しくない年上の人に呼びかけるかのようによそよそしく、以前のような懐っこさも、待ちわびたことへの不満もなかった。

藤堂詩織は口角を引きつらせ、子供たちに微笑みかけよ...

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