第6章

私は、床から天井まである大きな窓のそばに立ち、眼下に広がる新橋テックバレーの全景を見下ろしていた。心臓の鼓動は、不自然なほどに穏やかだった。

今日、奴らが私を破滅させるか、私が奴らを叩き潰すか。第三の選択肢は、ない。

「証拠の連鎖は完成しています。金融庁も準備万端です」

弁護士の高橋が、静かに告げた。彼の手にした分厚いファイルには、巨大企業を根底から揺るがすに足る、破壊的な証拠が詰まっていた。

「もう、後戻りはできない」

私の声は、氷のように冷たく響いた。

「奴らには、その行いのすべてに対する代償を、きっちりと支払ってもらう」

高橋は、力強く頷いた。

「金融庁の調査...