第14章 

藤原司は煙草を一口吸い、無表情のまま彼女を見つめ続けた。

足元に座り込んでいる女性は、彼を見上げてまばたきを繰り返していた。まるで今にも羽を失いそうな蝶のように。彼女の目は赤くなり、全ての希望を彼に託しているようだった。

藤原司は、もし自分が助けなかったら彼女はどうするのか知りたくなった。

「いいよ、探してみろ」

桜は驚いて目を見開いた。藤原司がこんなに冷酷だなんて!

耳元で女性たちの悲鳴が聞こえた。ボディガードたちが一人一人の顔を確認し始めたのだ。桜は焦りで手のひらに汗をかいていた。

「藤原司!」

彼女は怒りを込めて彼の名前を呼んだが、その声は小さく抑えられていた。

「これ...

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