第152章

実は桜が好きなのは、モネの『印象・日の出』の雰囲気だけだった。

この瞬間、初めて日の出に心を打たれた。

心の中の高い壁が、それによって静かに崩れ始めた。

「ありがとう、藤原」

カメラの中の男は口元を少し上げ、海辺の日の出よりも輝いていた。

口先だけの感謝なんて、子供じゃあるまいし。

「お兄さん、最近食欲はどう?」桜は藤原司の食事を世話している間、彼の食欲が落ちているとは感じなかった。むしろ、彼の食欲は良好だった。

食事の話になると、藤原司は眉をひそめ、つい愚痴をこぼした。「佐藤桜、俺はフランスで飢え死にしそうだ」

以前は食欲がなくても、空腹の時には味気ないものでも食べられたが...

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