第176章

「大丈夫だ」

藤原司は彼女を隣のソファに座らせ、自分も隣に座って水を一口飲んだ。唇が少し潤んだ。

桜は思い出した。もう半月も藤原司に料理を作っていないことを。最初は彼が突然海外に行ったから、後は二人の間の問題で。

胃の痛みは水を飲んで少し和らいだが、またすぐに激しく襲ってきた。

藤原司は何杯も水を飲んでも抑えられなかった。

桜は彼の顔色が悪いのを見て、結局我慢できずに彼の隣に座り、柔らかい手で彼の胃を揉み始めた。少しでも痛みを和らげようと。

「胃薬持ってる?」

「そんなものいらない」嫌そうな口調で。

実は佐藤桜が来る前、彼の胃の調子はそれほど悪くなかった。美味しい食べ物を知っ...

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