第208章

藤原司は胸の中がどんな感じなのか言い表せなかった。まるで綿で心を塞がれ、その綿の中に無数の毒針が刺さって、息もできないほど痛んでいるようだった。

千言万語が喉に詰まっていたが、何も言葉にならなかった。

「離さないと、どうやって助けるんだ!」

俺は医者じゃねぇんだぞ、どうやって助ければいいんだ!

田中彦はその言葉を聞くと、二人の警備員に佐藤翔太を支えるよう指示した。

この時、警備員たちは青ざめた顔をしていた。彼らはこの少年がお嬢様の弟だとは全く知らず、さらにさっきまでお嬢様だと気づかなかったのだ!

お嬢様はコンテストに参加しているはずじゃなかったのか、どうして急に戻ってきたんだ?!...

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