第211章

「小学校のとき、クラスの何人かにいじめられていた私のために、四歳年下の翔太が、自分より頭ひとつ分も大きい男子たちに棒を持って立ち向かってきたんだよ。負けるとわかっていても、私の仇を取ると言って」

「佐藤家に来てからも、父は最初、一人息子の翔太をとても可愛がっていたのに、翔太が私をかばって父に逆らうようになってから、だんだん父の寵愛を失っていったの」

「結局、何が言いたいんだ?」藤原司は佐藤桜がただの世間話をしているとは思えなかった。

桜は少し姿勢を正し、藤原司の目をまっすぐ見つめ、最も誠実な眼差しで言った。

「兄貴、翔太を一品苑に住まわせてもらえないかな?外に住んでいると、心配で」

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