第214章

桜は自分がこうして彼に抱かれていることが、まるで子供のようで少し恥ずかしく感じていた。

さらに恥ずかしいことがあった。

藤原司が餃子をひとつすくって、佐藤桜の口元に運んできた。

「兄貴、私風邪ひいてるから、一緒に食べるとウイルスうつしちゃうよ」桜の心の中では拒否していた。同じ器の餃子を分け合い、同じスプーンを使うなんて、親密すぎる。

藤原司の表情が曇った。「佐藤桜、やっぱり俺のことを嫌ってるのか?」

「そんなことないよ!本当に!」桜は冤罪だと感じた。この人はどうしてこの「嫌われている」という壁を乗り越えられないんだろう?

彼女は言ってみた。「自分で食べてよ...

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