第37章

佐藤美咲の脳裏には、先ほど偶然目にした佐藤桜の薬指に輝く婚約指輪の光景が何度も浮かんでいた。七カラットのダイヤモンドはそれほど派手ではないが、希少なピンクダイヤモンドで、その透明度は驚くほど高く、カットも完璧で、デザインも精巧。最高級のカスタムメイドで、その価値は計り知れない。

女性なら誰もそんなものが好きだ!

その指輪、本来なら佐藤美咲のものであるべきだったのに!

桜は佐藤美咲を一向に信用していない。外に出て使用人に尋ねた。

「すみません、若様はどこに行かれましたか?」

「奥様、若様は外出されましたが、具体的な行き先は存じません」

どうやら佐藤美咲は嘘を...

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