第43章

その美しい顔の半分は蛇の血で覆われていて、まるで恐ろしい鬼のようだった。

「怖いなら見なければいい。君は本当に馬鹿なのか?」

藤原司は蛇口をひねり、水をすくって鏡にかけた。

はっきりとした映像がすぐにぼやけ、桜は瞬きをして我に返った。心臓がまだドキドキしている。

ふと下を向くと、自分の脚に大蛇の粘液がついているのが見え、胃がひっくり返るような気持ち悪さに襲われ、体が震えた。

佐藤桜のその姿を見て、藤原司の胸には言葉にできない感情が湧き上がった。

彼は彼女の姿が「恐怖」とは結びつかないと思った。彼女の目は明らかに赤く腫れていて、泣いた後のようで、見る人に哀れみを感じさせた。

藤原...

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