第53章 

「イケメン、うちの桜はもう彼氏がいるから、手を出さないでね。友達になるのはいいけど」

「彼氏がいる?」藤原司が初めて口を開いた。

その言葉は冷たく響き、低い声で発せられた。

桜は藤原司の視線を感じ、伊藤香に説明しようとしたが、動作が遅れてしまった。

伊藤香が言った。「小林家の長男、知ってる?彼が桜の彼氏よ!」

「香ちゃん、もういいから、早く遊ぼうよ!」桜は親友の腕を引っ張った。

「へえ、小林隼人と付き合ってるのに、他の男の子とも仲良くするの?」伊藤香は驚いて眉を上げた。彼女の印象では、桜はとても忠実な女性だった。「まあ、将来浮気しても私は桜の味方だから!」

桜は顔を覆い、藤原司...

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