第55章

「お嬢さん、さっきちょっとぼーっとしてたんだ。次はあなたがするよ。兄貴に任せるのは不公平だろ?」

「いいよ!」

桜は笑顔で答えた。今回の彼女の調子は良く、残りの二つのボールも無事にホールインさせた。

「兄貴と桜さんの勝ちだな」と中村安は高橋駿を一瞥した。

「高橋さん、腕を出して!」伊藤香は自分の人差し指と中指を伸ばし、指先に息を吹きかけてから、高橋駿に皮肉な笑みを浮かべた。

「まったく、こんな簡単な試合で負けるなんて!」

桜がせっかく「浮気」しようとしていたのに!

高橋駿はため息をついた。兄貴が堂々と美人にキスしようとしていたのに、彼のせいでこんなことになってしまった。彼の責任...

ログインして続きを読む