第65章 

トイレの分かれ道に差し掛かったところで、桜は女子トイレに向かおうとしたが、突然後ろから強い力で引き止められた。

手が後ろから覆われ、彼女は「ううっ」としか声を出せず、瞬く間に個室に引き込まれ、ドアに押し付けられた。

怖い男性の気配が彼女を包み込んだ。

桜が顔を上げると、目の前には驚くほど美しい顔があり、彼女は目を見開いた。

「若様?!どうしてここに……」桜は突然気づいた。「さっき観客席の後ろにいたのはあなた?」

藤原司は意外そうに眉を上げた。「どうしてわかった?」

「後ろに誰かいる感じがしたの」桜は突然、バケツが爆発した後、地面に小さな黒い穴があったことを...

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