第67章

藤原司の顔色は良くならなかった。

「一夜でも終わらない?」

ふん、やったことは一度もない!

そんな事実を、藤原司が口にするわけがない。

佐藤桜が着替えを終えて出てくると、藤原司と高橋駿はまだ外にいた。

「嫂、まさか俺たちが早くから知り合いだったとはな。なんで教えてくれなかったんだ?」高橋駿が先に口を開いた。

高橋駿は頭がよく、場を盛り上げたり、人間関係を築くのが得意で、ほとんどの場合、初対面の人ともすぐに「友達」になれる。

桜は藤原司を一瞥した。彼は指先にタバコを挟んでいて、二人に構う気はなさそうだった。

「高橋さん、実は嫂と呼ばなくてもいいんです。若様とは名義上のふ……」

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