第69章

彼女は一目でその男に気づいた。彼の外見はあまりにも際立っており、その気品と威厳は極限まで高まっているように見えた。まるで全ての人や物事を眼中に入れていないかのようだった。高橋駿と一緒にいるのだから、きっと特別な存在に違いない。

こんな男は、どんな女性にとっても致命的な魅力を持っている!

「俺の兄貴、藤原だ」と高橋駿が紹介した。

桜は心の中で驚いた。高橋駿がこんな風に藤原司を紹介して、彼の正体がバレるのを恐れないのだろうか?

しかし、すぐに思い直した。普通の人は目の前のこの美しい「藤原さん」と、噂の醜い「藤原司」を結びつけることはないだろう。

案の定、佐藤美咲は手を差し出し、優しい笑...

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