第75章

今はもう夕食の時間を過ぎていて、料理が出来上がる頃には夜食の時間になっていた。

夜食にお粥は胃に優しいけれど、藤原司が満足しないかもしれないと思い、お粥の他にお鍋と刺身も用意した。

すべての料理が出来上がったのはまだ九時前だった。

桜は二階に上がり、藤原司の部屋のドアをノックした。中からすぐに誰かがドアを開けた。

藤原司はちょうど風呂から上がったばかりで、黒いシルクのガウンをゆるく羽織っていた。腰帯は結んでおらず、まるでちゃんと服を着るのが面倒くさいかのようだった。

彼は上から桜を見下ろし、顔色は悪く、少し青白かった。

桜は彼の背中がわずかに曲がっていて、腹部を縮めているのに気づ...

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