第9章

青木は元々彼女のものであったリソースをすべて佐藤美咲に譲り渡した。一年の間に、佐藤美咲は無名の存在から、今や少し名の知れた新三線モデルに成長し、昨年は「国内トップのモデル」の賞まで手に入れた。

一方、桜はほとんど冷遇され、今では人気のない小さなモデルに成り下がっていた。

桜はようやくその事の真実を理解した。会社が彼女にランウェイを歩かせるのは表向きの理由で、実際には《トップへの道》の責任者を色仕掛けで喜ばせるためだった。ランウェイの後には、もしかしたら夜の接待が待っているかもしれない。

佐藤美咲も《トップへの道》の決勝に進出していたが、彼女の実力では上位三位に入るのは難しい。だからこそ...

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