チャプター 63

グーフ

壇上の自分の場所に着いたところで、アナが裏口から出てきた。腰には、喃語を話しながら手を叩いているアントを抱いている。アントは俺の姿を見ると、さらに大きな声で喃語を発し、クスクス笑いながら俺に向かって手を伸ばし始めた。「もうすぐパパのところに行けるわよ。まずはパパとママを結婚させないとね」とアナが言った。アナの言ったことをアントがどれだけ理解したかは分からないが、興奮してさらに大きな声で笑い、両手をぶんぶん振った。自分の息子を見つめる俺の顔から、笑みがこぼれるのを止めようとは思わなかった。アナは最前列に腰を下ろし、アントが俺とシルヴィの姿を見えるようにしてくれた。アントはアナの肩越しに...

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