第11章

江口琛が値段を叫んだ直後に、山崎川がすかさず続けて入札した。

二人はまるでオークションの値付けを競争の手段にしており、すでに品物本来の価値の5倍以上にまで価格を吊り上げていた。

江口琛の隣に座る林田澄子は、事態が収拾つかなくなっていくのを見て、小声で制止した。

「琛、もうやめなさいよ」

秋山美羽も同調して言った。

「そうよ、江口琛。腹が立つのはわかるけど、カモになるのはやめなさいよ。山崎川はお金を何とも思ってないだけ、頭がおかしいのよ」

江口琛は歯ぎしりしながら言った。

「だめだ、山崎川はわざと俺の面目を潰そうとしてる。負けるわけにはいかない」

「彼が病気なら、あなたまで病気...

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