第15章

「川、おかえりなさい!」

山本桜は歩いてくる山崎川を一目で見つけ、立ち上がって迎えた。

彼女の目元は優しく弧を描き、笑顔は天真爛漫で、まさに山崎川が最も好む姿だった。

藤井海はソファにだらしなく座り、からかうように言った。

「おや、独身者が死にそうだな」

藤井海の言葉を聞いて、山本桜は顔を真っ赤に染め、恥ずかしそうに俯いた。

「藤井さん、からかわないでください!」

藤井海は妖艶に笑った。

「ははは、桜が照れてるぞ!」

山崎川は桜が照れ屋だと知っていたので、制止の言葉を口にし、すぐに山本桜の隣のソファに腰を下ろした。

「さっきは何を話してたんだ?」

「藤井さんが面白い話を...

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