第20章

「お父さん、毎回そう言うけど、私の気持ちを考えたことある?」林田澄子は苦笑いを浮かべた。

林田澄子は祖父母に育てられ、彼らへの思いは非常に深かった。

林田澄子も祖父母が一から築き上げた林田グループが灰燼に帰すのを見るのは忍びなかった。

彼女の父親、林田青は商才がまるでなく、下手くそなくせに調子に乗るタイプで、それでいて自分が正しいと思い込んでいた。

この数年、林田グループを引き継いでからというもの、林田青は経営を日に日に悪化させていた。

当初、山崎グループとの縁組がなければ、林田グループはとっくに破産していただろう。今日まで何とか息をつないでいるだけだった。

「お前は俺の娘だ。俺...

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