第27章

林田澄子は切実な眼差しで口を開いた。

「琛、これは私の家庭の問題よ。私が処理すべきことなの」

「家庭の問題」という言葉が、山崎川の胸に燃えていた怒りの大半を消し去った。彼は林田澄子が江口琛を遠ざけようとする行為を黙認した。

確かに部外者が山崎家の家庭問題について語る資格などない。

「わかったよ、澄子。気をつけてね」江口琛は林田澄子の気質をよく知っており、彼女を困らせたくなかった。

江口琛が去った後、林田澄子と山崎川は一時的な沈黙に包まれた。

林田澄子が先に口を開いた。

「さっき琛があなたにぶつかったのは彼が悪いわ。琛の友人として、心からお詫びします」

車椅子に座った彼女は、ゆ...

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