第28章

山本桜は自信に満ちた表情で山崎川の腕を取り、会場に入った。全員の視線と賞賛を一身に浴びる準備は万全だった。

しかし、彼女に集まる視線は嘲笑と非難の色合いが濃かった。

山崎川が少し席を外しただけで、彼女は既に人々の囁き声を耳にしていた。

「前から思ってたけど、山崎社長夫婦って変じゃない?旦那は浮気相手と一緒にいるのに、奥さんはいつも一人ぼっち」

「山崎社長の女性同伴者って、囲ってる愛人でしょ?気づいた?あの愛人のイブニングドレス、林田澄子さんが前回のオークションで着ていたのとそっくりじゃない」

「同じシリーズよね!浮気相手が意図的にやってるのは明らかじゃない?本妻を挑発してるのよ。う...

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