第29章

林田澄子が会場に戻ると、しばらくして山本桜も席に着いた。

しばらく待つと、ドレスのオークションが正式に始まった。

秋山美羽がデザインしたイブニングドレスは、彼女の多大な心血と時間が注がれたものだった。

デザインは絶妙で、極限まで簡素でありながら、細部に気品と美しさが輝いていた。

モデルが登場するや否や、ビッドする人々が途切れることはなかった。

通常、宝石で飾られたドレスなら、オークション価格は数千万円に達することもある。

逆に、100万から1000万円というのは、かなり珍しい価格帯だった。

林田澄子がまだ値を付けていないうちに、秋山美羽のドレスはすでに2400万円まで値が上がっ...

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