第35章

山崎川は異常に怒り狂っていた。今すぐ家に帰って林田澄子と決着をつけたい衝動に駆られていた。

だが山本桜は小さな体で必死に山崎川のベッドからの離床を阻んでいた。

「川、興奮しないで。医者が言ったでしょう?脳震盪だから刺激を受けちゃダメなの」

「どけ」山崎川の声は凍りつくように冷たく、血に飢えたような調子だった。まるで邪魔をする者は容赦なく殺すとでも言わんばかりに。

山本桜は藤井海に助けを求めた。

「藤井さん、早く来て!川は本当に刺激を受けちゃいけないの」

藤井海も阻止する側に加わり、山崎川は必死にもがいた。

突然、彼の体から力が抜け、完全に藤井海の背中にもたれかかるように崩れ落ち...

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