第41章

一瞬の間、林田澄子はぼんやりとした気分になった。

まるで、本当に愛する人と結婚して、今自分の隣に横たわる男性も、心から自分を愛してくれているかのように。

だが、すぐに携帯の着信音が彼女の思考を遮った。

山崎川は目を開けず、手を伸ばして携帯を取り、電話に出た。

「どちら様?」

相手が何か言うと、山崎川はようやく起き上がった。

「桜、泣くな。すぐに行くから」

薄い布団がずり落ち、完璧な筋肉の胸と腹部、広い背中と肩、細い腰が露わになった。

林田澄子は冷ややかに笑い、妄想から我に返ると、無事な方の足で山崎川を蹴った。

山崎川はまったく予想していなかった。武術の心得があっても、不意打...

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