第43章

柏原朝陽が山本桜を連れ去るのを見て、藤井海は尋ねた。

「朝陽のあの性格で、本当に桜を彼と行かせて大丈夫なの?」

「何が心配なんだ」山崎川は言った。

「言いたいことがあるなら、少し話させればいい」

藤井海は笑った。

「お前にとっては痛くも痒くもないかもしれないが、桜は辛いだろうな」

山崎川は眉をひそめた。

「ひとつ聞きたいことが……」

藤井海は彼の言いよどむ様子を見て、不思議そうに尋ねた。

「何だよ、そんなに言いづらいことか?」

山崎川は彼に尋ねた。

「その……女の子をどうやって機嫌よくさせるんだ?」

藤井海は笑った。

「桜が不機嫌になるのを心配して、後でご機嫌取りで...

ログインして続きを読む