第44章

退社時、江口琛は前もって林田澄子を迎えに来ていた。

しかし林田澄子が食事に行くと言うと、江口琛はぶつぶつと不満を漏らした。「あいつらと何を食べるんだ?ろくなやつはいないだろう!」

林田澄子は言った。

「柏原朝陽が戻ってきたの」

「戻ってきたのか?」江口琛の表情がようやく和らいだ。

「まあ、あいつだけはまともだな」

林田澄子は午前中外来、午後は病棟と忙しく、疲れていた。目を閉じて休む。

「少し眠るわ、着いたら起こして」

江口琛は鼻で笑った。

「降りる時は自分で安全ベルト外せよ、また写真撮られるぞ」

それを聞いて、林田澄子は藤井海の盗撮のこと、そして山崎川がバッグを贈ったこと...

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