第6章

林田澄子は目を細めた。

テーブルの上の小さなケーキが、あまりにも露骨に置かれている。

山本桜は困惑したふりをして、林田澄子の視線に沿って、テーブルの上のケーキの箱に気づいた。

彼女は慌てて箱を片付けながら、申し訳なさそうな表情で言った。

「見苦しいところをお見せしてすみません、林田さん。私の机、散らかっていて」

林田澄子は突然立ち止まり、思わず山本桜の横顔をじっと見つめた。

これまであまり注意して見ていなかった。

山本桜のこの横顔……どこか見覚えがある、どこかで見たことがあるような。

いったい誰に似ているのだろう?

頭の中でぼんやりとした人影が徐々にはっきりしてきた。

な...

ログインして続きを読む