第7章

江口琛は車で林田澄子を家まで送った。

到着すると、江口琛は助手席のドアを開け、まるでお姫様を迎えるかのように林田澄子を車から降ろした。

「琛、帰りは気をつけて運転してね」

林田澄子が身を翻して去ろうとした瞬間、江口琛は突然彼女の右手首を掴んだ。

「澄子、業界で噂になってるんだ。山崎川が最近、山本桜っていう若い助手と親密らしい。病院のあの子だろう。彼はここまで無遠慮になって、君の気持ちなんて全く考えてない。君の面目のことなんて気にしてない。どれだけ多くの人が陰で君を嘲笑ってるか」

「やっぱり前言った通り、山崎川と離婚したほうがいい!」

この話題に対して、林田澄子はやはり無意識に逃避...

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