第103章 私の患者が逃げた

サラ POV

週末の休暇を終え、月曜日の私は気力に満ち溢れていた。空さえも普段より明るく見えるほどだ。

森川は朝礼の際、冷ややかな口調で言った。

「随分と顔色がいいな。昨日は何キロ走ったんだ?」

なんて情緒のない男だろう。私はただ、呆れ顔で彼に白い目を向けてやるしかなかった。

「305号室の小原翔太だが、今日オペだ。サラ、準備しておけ」

一時間後、私が305号室へ向かっていると、突然、小原さんが血相を変えて病室から飛び出してきた。彼女は今にも私にすがりつかんばかりの勢いだ。

「先生、先生! 小原さんがいないの!」

「いない? ベッドにいなかったのですか?」

小原さんは首を振...

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