第40章

サラ POV

この日は本当に長く感じた。

仕事がこれほど耐え難いと思ったことはなかった。

手元の仕事に集中しようと必死に努めたけれど、「藤原」という姓が常に目の前に浮かんでは消えなかった。

定時になって森川さんに挨拶を済ませ、すでにアパートで待っている朝のところへ向かった。

彼女からは事前に、明日一緒に藤原邸で夕食を取ることになると聞かされていた。

病院の玄関を出ようとした時、足早に近づいてきた平沢先生が私を呼び止めた。

「サラ、真由美に代わって正式に謝らなければならないの。彼女はただ検査をしてくれた医師と何気なく話しただけで、あの日のコンサートで、サラと藤原さんに会ったことを...

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