第46章

サラ POV

藤原邸を出る時、白石執事からとても親切に車のキーを渡された。そして隣に停まっているボルボを指差して、「これは藤原さんからのプレゼントです」と言われた。

私は「どちらの藤原さんからですか?」と聞きたかったけれど、結局は礼儀正しく微笑むだけで、素直にキーを受け取った。

それはグレーの最上級ボルボ、控えめながら快適な車だった。後ろを振り返り、夕日に照らされて窓ガラスが輝く壮大な石造りの建物を見上げたが、誰の顔も見えなかった。

私は車に乗り込み、そのまま走り去った。

さっき書斎で弁護士に言われた言葉が、まだ耳に残っている。

「藤原家の一員として、藤原さんには年間20万ドルの...

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