第62章

サラ POV

ここ数日、エミリと渡辺の姿を見ていない。エミリのことが少し心配だったが、誰に消息を尋ねればいいのかも分からなかった。もしかしたら、渡辺に付き添われて他の街へでも行ったのかもしれない。そう思うことにして、私は引き続き安心して仕事に打ち込んだ。

この前のダニエルとの夕食デートの後、彼が病院の近くに現れることはなかった。マルティンは相変わらず頻繁に私に会いに来てくれるので、引き出しに小さなお菓子を用意しておき、いつでも彼を喜ばせられるようにしておくのが習慣になっていた。彼が言うには、ダニエルは最近町におらず、「配達」に行っているとのことだった。

配達?私の心は沈んだ。どうにもま...

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