第63章

サラ POV

相変わらずエミリと渡辺の消息は途絶えたままで、私は本気で心配になってきた。

春に電話をかけたいけれど、少し躊躇してしまう。なにしろ、私がロサンゼルスにいた時、山田さんにアメリカを離れてコロンビアで支援医師になることを申請した件を、彼に前もって相談していなかった。発つ前、彼とは別れの挨拶すら交わしていないのだ。

私たちはまるで見ず知らずの他人同士のように、すっかり連絡を絶ってしまっていた。

ダニエルの薬を交換するために、マリアの家へ向かった。

マリアとマルティンは二人とも留守だった。ダニエルはもう自力で歩けるようになっていて、彼がドアを開けてくれ、さらには水まで一杯淹れ...

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