第67章

藤原春POV

ラ・ローザに数夜潜伏し、娼館全体の構造と出入りする人物はあらかた把握した。

しかし最後の夜、忍び込んだ部屋にテッサという娼婦が入ってきた。幸いにも彼女は酔っ払っており、俺を部屋で待っていた客だと勘違いしたようだ。彼女はなかなかの美貌で、グラマーな体つきをしていた。アルコールの力を借り、情熱的かつ積極的に迫ってくる。だが、彼女に構っている時間はない。一刻も早く消えてもらう必要があった。

だが、まさかサラに出くわすとは夢にも思わなかった。夢にまで見た、焦がれていた女に。

なんとも大胆な女だ。たった一人で娼館に潜入するとは。しかし、すぐに思い至る。彼女が危険を冒してここに来た...

ログインして続きを読む