第72章

ダニエルPOV

俺は藤原春と手を組み、サラを救出した。

正直なところ、部下に裏切られたこと自体に驚きはない。首領になってからというもの、毎年数人は飼い慣らされていない手下が反旗を翻してくるからだ。

だが、まさか俺がアメリカの顧客と手を組んで、その女を助けることになるとは。これは本当に予想外だった。

モーテルの地下室で、春とサラが固く抱き合うのを見た時、俺の心は嫉妬と悲哀、そして感動が入り混じった複雑な感情で満たされた。

サラの家で、春はサラを寝かしつけ、寝室のドアを閉めて出てきた。俺はリビングで彼を待っていた。

「彼女、眠ったのか?」俺は訊いた。

彼は頷く。「恐らく、丸一日眠っ...

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