第82章

藤原春 POV

ベッドに横たわるアトリの姿はひどく惨めで、普段のハンサムで得意げな面影はまるでない。その美しい目も、むくみのせいで正常な大きさまで開けずにいた。

まるで下手な化粧を施されたピエロのようだ。

俺はベッド脇のアームチェアに腰掛け、複雑な視線で彼を見つめていた。彼を気の毒に思い、心配している。だが同時に、彼が自ら演じた愚かな行為に腹を立ててもいた。

「少しは楽になったか、アトリ?森川さんの話では、もう命に別状はないらしいな。ただ安静が必要だそうだ」

「春。体のあちこちが痛む。これで安静と言えるのか?尿道カテーテルまで付けられてるんだぞ。小便もクソも、自分でコントロールでき...

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