第95章

サラ POV

病棟を回診していると、突然PHSが鳴った。

救急外来からの呼び出しだった。

私はすぐにオフィスへ駆け込み、電話をかける。

「サラさん、救急外来に先生をご指名の患者さんがいらっしゃいます」救急外来のトリアージナースが電話に出た。

「私を?どういうこと?私じゃないと処置できない緊急のケースなの?」

「いえ。その患者さんが、腕の抜糸と消毒は先生にしてほしいと名指しで」

「でも、その仕事なら、あなたでも完璧にこなせるって信じてるわ」

「ええ、できますとも。やらせていただけるなら、喜んで。サラ」

ナースの声が急に低くなる。「見逃すのは惜しいほどのハンサムよ」

私は声も...

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