第126章:イーサンの提案

ライラ視点

翌日の夜

ニューヨークの街の灯りが、まるで地上に落ちた星々のように眼下に広がっていた。イーサンにエスコートされ、マンハッタンでも指折りの高級レストラン「ルミエール」の重厚な観音開きの扉をくぐる。彼の腕に手を添えると、高価なスーツの生地越しに硬い筋肉の感触が指先に伝わってきた。私は思わず、その仕立ての良いネイビーのスーツがいかに苦労して彼の逞しい体躯を包み込んでいるか、見惚れてしまった。広い肩に張り付き、呼吸をするたびに鍛え上げられた胸板に合わせて生地が伸びるのだ。ダークな髪は、無造作に見えるよう計算して整えられており、ベッドから起き出したばかりのような危険な色気を漂わせている。...

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