第187話卑劣な老人

ライラ視点

鬱蒼(うっそう)とした木々の梢(こずえ)に阻まれ、陽光は弱々しく砂利道に斑(まだら)模様を描き出していた。その上を、私のベントレーが滑るように進んでいく。この場所は地図には載っていない。あえてそうしているのだ。マンハッタンの喧騒から数マイル離れた、人目を避けた森の開拓地に、ウィンターズ家の秘密賭博場はひっそりと佇んでいた。

ジュノがどこに隠れているかは、最初から分かっていた。ソフィアの父親であるカイを追い落とし、彼女の叔父をウィンターズ家の新たな当主に据えた後、あの老いぼれはここに引きこもった。引退を装いながら、影から糸を引いているのだ。

「もう一度教えてくださいよ。なんでこ...

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