第26章:一目ぼれ

イーサン視点

レオは慎重に小切手をデスクに置くと、頭を下げたままじっとしていた。こいつには少し同情したくなる。俺を刺激しないよう、必死に気を使っているのがわかるからだ。ここ数日、誰もが俺に対して腫れ物に触るような扱いをしてくる。俺に聞こえないと思っている場所でひそひそと噂し、普段は自制心の塊のようなイーサン・パチェコが、何故ここまで追い詰められているのかを推測しているのだ。

何も知らないくせに。

「他に何か必要なものはございますか?」レオは言葉を選びながら、慎重な声で尋ねた。

俺は小切手をじっと見つめた。宛名はライラ・ブラボ。金額は過去三回送ったものと同じだ。それらはすべて、粉々に破...

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