第4章：十分だ！
ライラ視点
「ボスのことジロジロ見ちゃダメ――正気なの？」
エイヴァの切羽詰まった囁き声が、音楽を切り裂いて聞こえた。彼女は一段高くなったステージの上で、私の背後を通り過ぎていくところだった。
私はすぐに視線を落とした。だが、彼の視線が私に注がれているのを感じずにはいられなかった。イーサン・パチェコは、まるで玉座に座る王のように個室の中央に陣取り、高級スーツに身を包んだ男たちに囲まれていた。
私が踊り始めてからずっと、彼はその強烈な表情で私を見つめ続けていた。その暗い瞳は、隠すこともない興味を湛え、私の露出した肌の上をゆっくりと這うように動いていた。
私は彼を無視し、自分の踊りに集中しようと努めた。スパンコールのついた極小の衣装は、想像の余地などほとんど残していないが、全裸よりはマシだ。それに、私にはこの仕事が必要だった。家賃は待ってくれないのだから。
視界の隅で、彼が革張りの椅子に深くもたれかかり、口の端に獲物を狙うような笑みを浮かべているのが見えた。私の動きを目で追うその様子には、どこか独占欲めいたものがあり、不安で胃がきりきりと痛んだ。
（私だと気づいているの？）
その考えは、まるで氷水を浴びせられたかのような衝撃だった。
（あの夜、バーで……お互いに酔っていたとはいえ、もし彼が覚えていたら？）
思考が駆け巡る中でも、私は無理やり踊りを続けた。三ヶ月前のあの夜、私は浮気をした婚約者への悲しみを酒で紛らわせていた――会ったことさえない婚約者への。実際に寝た相手が、その浮気性の婚約者だったかもしれないなんて、笑えない皮肉だ。
（いいえ）私は自分に強く言い聞かせた。（彼が知っているはずがない。きっとショーを楽しんでいるだけの、よくある金持ちの一人に過ぎないわ）
それでも、あの暗く射抜くような瞳の奥に、何か別のものがある気がしてならなかった。それは危険なほどに、「認識」に近い感覚だった。
音楽が骨の髄まで響く中、私は複雑なスピンをこなした。
（たとえあの夜のことを覚えていたとしても）私は自分を納得させようとした。（私が彼の婚約者だなんて知るよしもない。逃げ出したあの婚約者だなんて）
そう考えても、肌を焦がすような彼の視線を感じると、何の慰めにもならなかった。
「この会議は、君の兄貴が仕切るべきじゃないのか？」
テーブルについた男の一人――中年の、サイズの合わないスーツを着て香水をつけすぎた男――が、わざとらしい笑い声を上げた。「ヘンリーも、こんな大規模なビジネスを二十三歳の若造に任せるほどイカれてはいないだろうよ」
室内の温度が数度下がったかのように感じられた。誰もがイーサンの反応を窺い、空気はナイフで切れるほどに張り詰めた。
イーサンはゆっくりと顔を上げ、危険な笑みを顔全体に広げた。
「兄貴が俺の下で働いているのに、なぜ俺が後継者なのか。その理由を当ててみるか？」
彼の声は何気ないものだったが、血を見るほどに鋭い刃のような響きを含んでいた。
「あんたに俺の能力を疑う資格はない」
男の顔は赤くなったが、賢明にも口をつぐんだ。
イーサンの関心はすぐにステージへと戻った。彼の目は一点の曇りもない集中力で私の動きを追い、親友であり腹心でもあるルーカス・ゲレロが耳元で何かを囁こうと身を乗り出したことにも、ほとんど気づいていないようだった。
二人は共に育ち、その家族の帝国は何世代にもわたるビジネス取引を通じて絡み合っていた。他の男たちが利益率や縄張り争いについて議論している間も、イーサンの視線は、きらびやかな青い衣装を身にまとったストリッパー――つまり私――に釘付けだった。
彼と目が合うたびに、胸が締め付けられるのを感じた。その視線の一つひとつが脅しであり、誓いであり、そして答える勇気など到底持てない問いかけのように思えた。
私は音楽に、そして自分の踊り（ルーティン）に意識を集中させようとした。バーにいたあの酔っ払いの女と、今ステージに立っているストリッパーが同一人物だということに彼が気づきつつある――そんな可能性以外のすべてに。
会合はだらだらと長引き、数字の話と脅し文句が、重低音のビートと混ざり合っていく。めまいがひどくなり、いつもなら正確なはずの動きが鈍くなるのを感じた。部屋が回っているのか、それとも私が回っているのか？ 胃が激しく波打ち、吐き気がこみ上げた。
（しっかり立って）私は自分に言い聞かせた。（恥をかいちゃだめ、こんな奴らの前で――）
その瞬間、ヒールが台の端に引っかかった。バランスを崩し、世界が横に傾く。私は無様にステージから転げ落ち、集まったマフィアの幹部たちの目の前で、床に激しく身体を打ち付けた。
「おいおい、これがテメェのダンスか？ この役立たずのアバズレが」
しわがれた声が、凍り付いた静寂を切り裂いた。
「素人の茶番で俺たちの夜を台無しにしやがって」
顔を上げると、隅にいた醜い初老の男が、残酷な愉悦に顔を歪めていた。彼は分厚い札束を取り出し、地面に投げつける。紙幣がまるで落ち葉のように床に散らばった。
「その綺麗な脚を失いたくなけりゃ、這いつくばってこっちに来て、まともなラップダンスを披露しな」男は唇を歪めて嘲笑った。「着ているその衣装を全部床に脱ぎ捨てるまで止めるなよ」
他の男たちは様々な反応を見せていた。居心地悪そうにする者もいれば、あからさまにいやらしい目つきで私を値踏みする者もいる。
私は反射的にイーサンに視線を走らせた。だが、彼の表情は慎重なまでに無反応だった。まるで私が些細な気晴らしに過ぎず、私のことなど知らないとでも言うように。
心臓が早鐘を打った。あの男に触れられると考えただけで虫唾が走ったが、この仕事を失うわけにはいかない。それ以上に、彼のような人間を敵に回すことなどできるはずもなかった。
「その必要はない」
ルーカス・ゲレロの滑らかな声が、張り詰めた空気を断ち切った。彼は立ち上がり、完璧に仕立てられたジャケットの襟を直す。
「彼女には、代わりに僕の酒の相手をして償ってもらおうか」彼は私に手を差し伸べた。その微笑みは温かく、安心感に満ちている。「どうだい、美しい人？」
安堵のあまり、胸が痛むほどだった。ルーカス・ゲレロの噂は聞いている――イーサンの幼馴染であり、ゲレロ産業帝国の後継者。アルマーニを纏った天使のような男だ。あのクソ野郎の要求に屈するより、彼の膝に座ってシャンパンを注ぐほうがよほどましだ。
私は吐き気と戦いながら、なんとか立ち上がった。視界が恐ろしいほど揺らいだが、ありったけの尊厳を振り絞り、ルーカスのほうへ歩き出した。近づくと、彼の手がすでに私の腰へと伸びてくる。
「やめろ！」
その一言が、銃声のように部屋を貫いた。私を含め、全員が凍りつく。私は心臓が喉から飛び出しそうな思いで、ゆっくりと振り返った。イーサン・パチェコの方へ。
彼の表情は読み取れなかった。だが私を見つめるその黒い瞳は、私が理解できない――あるいは、あえて理解しようとはしない――何かで激しく燃え上がっていた。
