第52話:私の義理の兄弟

ライラ視点

部屋全体の空気が一変したようだった。誰もが振り返り、新たな来訪者に目を向ける。まるで誰かがスイッチを切り替えたかのように、その場のエネルギーが瞬時に変化したのだ。

彼は際立って魅力的だった。顔にかかる暗い色の巻き毛は、真剣さと親しみやすさという相反する要素を同時に漂わせている。表情は落ち着いていて思慮深げだが、どこか温かみがあり、一目で好感を抱かせるような雰囲気を持っていた。仕立てのいいスーツが広い肩を包み込み、ワイシャツの生地は明らかに鍛え上げられた肉体に張り付いている。動作には意志と自信が満ちており、何の苦もなく周囲の注目を集めていた。

私の不意を突いたのは、彼の瞳だった...

ログインして続きを読む